いくら垢ばかり増えても、望まれる情報にリーチしなきゃ意味がねェのよ。
数日前にYoutubeでこんなアンケートを見かけて、思うところがいろいろあったので今日はこの記事を書いている。ちなみにこのチャンネルは登録していない。けど動画開いたことがあったりするとこうしてコミュニティの書き込みが出るんだよな。邪魔臭い。
正直な話、文房具はジャンルとして伸びないと思ってる。
というのも、『文房具』をメインに扱った動画で万単位の登録者がつくチャンネルは、
- 『学生』をメインターゲットにして訴求している。
- 『仕事術』にフォーカスして訴求している。
- 題材の切り口がかなり独特
- 編集が軽快でエンタメとして見やすい
このどれかに限られてしまうのが現状なんである。このジャンルで先駆者・成功者と言うべき『しーさー文房具チャンネル』は『高級文具・小物×デザイン×使用感レビュー』というそれまでの文房具Youtuberになかった切り口と、扱う文具の大部分がシャーペンと文房具の主ターゲットである『学生』を意識した造りになっている。たまにボールペンもやるけれどそれはそれで大学生や一般の大人にも需要ある物なのでそちらのターゲットにも訴求しやすい。しかも『価格が万超えの一品』となれば自分では手が届かなくともその使用感を知りたいという人は多いはずで、それも成功に拍車を掛けているように思われる。
他にも万単位の登録者を獲得しているチャンネルは、シャーペンやマーカーペンなど「勉強に使える文具」の紹介をしている垢が圧倒的に多く、大人向けの文房具紹介では多くても6000人から1万人台と伸び悩んでいるのが大多数を占める。これは学生においては「必需品」とされる文房具でも、社会人になれば途端に趣味性の色が濃くなってしまうのが一因だろう。
文具界隈では有名人である『文具王』高幡さんや『Pen-info』の土橋さんなどのチャンネルも登録者数はあまり大きく伸びていないし、なんなら「そのノート、iPadで書けます! ペーパーレス化しよう!」という動画の方が伸びているくらいだ。大人にとっての文房具なんて、所詮その程度の扱いだという事だ。
その他の成功しているチャンネルでは登録者6万人で『文具女子博』の公式Youtuberも務める『Sakura Bookmarks』がある。あそこは毎回ユニークな文房具を軽快で楽しい編集と共に紹介していってくれるので、それが「面白い」というエンタメ性と共にウケているのだと推察する。紹介している文具の中には「なんだこれは」という使用用途に疑問符の付くような商品も多々あった。それを面白おかしく紹介することでもエンタメ性の助長に一役買っていたりするのだろう。
仕事術にフォーカスして成功した例では『THE オトウサンノヒミツキチ』を挙げたい。ここは徹底して「仕事の生産効率の上げ方」にこだわった文房具やツールの使い方を紹介することで人気を博したチャンネルだ。編集もスッキリしていて結構見やすい。
じゃあその他の文房具Youtuberは? と言うと……
Vlogと大差ない奴、そもそも動画である必要がない奴が多すぎて辟易する。検索汚染かってくらい。
特に『手帳系』と呼ばれる手帳の紹介を中心に据える垢とか。コミュニケーション感覚で垢作って投稿して見に来た人と交流する、それが悪いこととは言わない。言わないけれど、隙あれば自分語りを延々とぶち込んでくるってのはそれは文具自体が動画の主人公なのではない、「○○を使ってる私を見て! イイでしょ!」と言っているようなもんだ。その時点で文房具動画ではない。Vlogの延長線みたいなもんだ。
真面目に文具紹介をしている動画にしても、「その内容、文章と写真ならば1分で済むのにわざわざ動画にして何十倍も時間奪う必要あります?」と問いたくなる内容の物が多い。動画にするなら動画でしか紹介できないようなことをやるか、純粋なエンタメとして突き抜けた面白さを追求してほしい。そうじゃなきゃわざわざ何時間も編集に時間かけて動画にする意味はないだろう。作っている自身が大変なだけ。
そして情報。文具動画を見に来る人の多くは「情報」を求めているのだから、これが欠けては非常に困るのだ。
- 値段
- 入手難易度
- 使用感・耐久性
- アフターケア
- もっと便利になる使い途
- 新製品販売スケジュール
この辺りがだいたい文房具をWeb検索する人の知りたい情報になる。それにフォーカスできているか、誰向けの情報なのか。まずはそこから始めることになる。その上で「これは動画でやるべきか?」を吟味する必要があるわけだ。後は編集で差別化する。これから文房具Youtuberを目指す人にはそういう動画作りを目指してほしいと切に思う。
それがされないからこそ、私は文房具関連の動画を見なくなったんだし。
動画は投稿主が情報を渡すペースを握れるけれど、文章ならば読み手側が情報を受け取るペースを決めることができる。だから文章の方が早く情報を得ることができるし、料理や手芸などの「作業にイメージが必要で、動画解説の方が適しているジャンル」でない限りは文章の方が好まれる、という傾向もある。そこを意識した動画作りをしないと単なる時間泥棒という烙印を押されるわけだ。
だから冒頭の結論。「必要な情報に届かなきゃ動画ばかり増えても意味がない」。
ズレてるんだよなぁ……質問の意図が。文房具界隈をまず何とかしたいなら出てくる動画の質の方を何とかすべきだ。量はその後。「貴重な可処分所得時間を費やしてでも見る価値がある」コンテンツを育てるのが先だろう、と。でも現状大人が文房具に興味を持つ確率はデジタルガジェットより下なのだから、大きくなりようがないだろうと。私の意見としてはそんな感じ。
この流れが変わらない限り、動画ジャンルとしての文房具に未来はないかもね。
――というわけで、今日は普段私が界隈に対して思っていることを存分に吐き出した。もっとこう……なんかなぁ、胸を張って一商品に対しての愛を延々と語るとか、そういう熱量に溢れた動画が出てくれないかなぁ……なんか猫も杓子も収益のために文具を苗代にして動画作ってる、そんな感じの熱も何も感じない動画ばっかりで見てても面白くないんだよ……