【日記】先に進む制度、置き去りにされる者

「年寄りはダメだな、時代に置いていかれちまって」

……というのはうちのじぃじの談。

店という店がポイントによる囲い込みをするようになり、共通ポイントによる経済圏が確立していき、やれどこの店ではこのポイント、こっちの店ではこのポイント……というようにどんどん売買が複雑になっていく。

普段買い物をするばぁばならまだ少しはわかるだろうが、その辺のやりとりに疎いじぃじでは現代のポイント制度についていくことができず、それでも毎日ドコモを始めとして各社からのポイント情報メールはくるし……で、今回私が来たのとばぁばの入院で独りになってしまったのをきっかけに、「dポイントの使い方を教えてくれ」と言われた。その時のやりとりだ。

まぁ私に言わせると、『ポイントに惑わされず必要な時に必要なものを最安値で買え』が一番賢い買い物のやり方だと思うんだけど、利用できるならポイントは利用した方がお得なので、実家周辺でポイントが貯まる店・使える店のリストと使い方をまとめたものを紙に書いて渡した。

なんたって宮崎ではdカードゴールド持ってdポイント経済圏で暮らしてる私である。その辺の機微はお任せあれ、と言ったところだ。

ぶっちゃけた話さ、あからさまについて来れない人間がハッキリ出ちゃうシステムって、ダメだと思うんだよね。

存在を知り、理解できる人間だけが得をする。それはポイントに限らず行政支援なんかでもそうなんだけど、『必要としてる人間ほど情報が行き渡らない』『情報検索力のない人間は必要とする情報に辿り着くことすら許されない』ってのが最近の世の中、すごく顕著に出てる気がするのよね。

そしてそんな折にタイムリーに出てきたのが、KDDIの通信障害だ。高度化された情報社会が実は情報網がちょっと混乱するだけですごく脆く崩れ去るものだった、というのを露呈させてしまったのが今回の事件だったと思ってる。

情報化社会からあぶれて取りこぼされた人間をどう掬い上げて組み込んでいくのか。システムが正常に機能しなくなったときの代替手段はどうするのか。これからのシステム制作・運用側には重い課題が待っていることだと思う。

それと同時に、これからの時代に必要とされてくるのは、物事を理解した上でそれを解りやすい言葉に直して他人に伝えられる人材、な気がしてる。今後、高齢化が進むにつれて進みゆくシステムからあぶれる人が増えるのは必至な状況なのだから、せめて理解できるような形で伝えられる人間がシステム側との架け橋になる。

そういうあり方ができる人が、人と人のつながりの中で必要になるんじゃないかなと、そんなことを資料を作りながら思ったんだ。

……『人』に、期待しすぎかな。